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NEVER FORGET YOUR BEGINNER’S SPIRIT

学生の頃、奈良美智さんの著書で「NARA NOTE」の1ページに、

“NEVER FORGET YOUR BEGINNER’S SPIRIT”

と書きなぐったものがあり、素直にその言葉をいい言葉だと思っていたのです。

時が経ち、改めて初心を思い返すところ。

ずっとその言葉は頭の片隅にあって、自分の心の拠り所にあり続けているなと思い、

今一度「NARA NOTE」をパラパラと読み返しています。

より、実感として理解できる言葉もあれば、

学生の頃に受けた印象とそのまま今も響くなと思う言葉もあったり。

改めて、創作を志すものとしての自分にとって大きな求心力を持つ存在だと思います。

奈良さんの絵が好きなのは勿論だけど、

その創作を支える精神性に触れた学生時代の感覚が、

僕の創作意欲の礎の一つになっていると思います。

学生の頃に気軽に想いを連ねたようにブログに残そう。

美少女なんているわけないじゃない

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青森県立美術館で「美少女の美術史」展を観てきました。夏休み期間でお盆休みの間とあって結構な人出だったと思います。

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副題に「少女について考えるための16の事柄」とあるように主題に「美少女」とうたっているのは、展覧会タイトルのロゴタイプデザイン上の意味もありそうだなーと思いました。「美少女の美術史」の方がロゴタイプ作りやすそうだしね。

以前開催された「ロボットと美術」展同様、一つのテーマに沿って複数のアーティストの作品をオムニバス的に観られる夏休みにぴったりなエンタメ要素もありながら、古典から現代まで通史的に「少女性」や「かわいい」という感覚を考察してみたりと、美術に詳しい人も、そうでない人も楽しめるイベント性の高い企画展。

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チケット売り場で登場するタカノ綾の巨大バルーンで掴みはOKです。ここはもちろん写真撮影可能で作品をバックに記念撮影する人多数(僕も例に漏れず)。

前後しますがチケット売り場よりさらに前、入り口に展示されているobの作品は7月の会期中1ヶ月かけてライブペイントで制作されたそうです。

今回の企画展はフロアをまたいでの展示。これもあってゆっくり見ていると2〜3時間もかかるくらいのボリューム。順路的に後半には映像作品もあるのでじっくり見るには時間と体力を要します。

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少女のイメージって真夏にワンピース着ているあの姿。「セクション7:お部屋で/お庭で」の作品群がまさにそのイメージで、作品中の少女もこちらの視線を感じていないようなもの。夏の回想シーンのようなこのセクションがとても好きでした。季節的にも真夏のイメージが想像しやすく。今後巡回する各美術館ではどのように見えるのかな?季節によっても受ける印象が変わってくるでしょうね。

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お昼前に展示を見始めてしまったので途中お腹が空いちゃって、終盤足早に展示を見終えてお昼休憩。

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同行した妻と母を、運動公園敷地内にある食堂に連れて行こうとちょっと歩いたものの、まさかの閉店!調べると店主が亡くなったそうでそれ以来閉店してしまったのだそうです。前に食べたのは美術館でラブラブショーという企画展をやっていた時で、企画に合わせた特別メニューを出していたりと個性的で庶民的な食堂だったのです。残念でした。。

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気を取り直して美術館内のレストランへ。3人それぞれカレーを注文した上に、なんだかいろいろ食べたいと意気込んだ母の希望でパスタを3人でシェア。疲れがすっかり吹き飛ぶくらいに急に全員満腹モードに。

レストランの流れから最後に八角堂での若手作家の展示を観、

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帰りがてらあおもり犬を拝む。

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ほんとうは、久しぶりに三内丸山遺跡も観に行きたかったんだけど、また今度。

君や僕にちょっと似ている

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2013年1月1日、青森県立美術館。奈良美智の「君や僕にちょっと似ている」展へ。

初めて奈良さんの展覧会を観たのが2006年の弘前でのAtoZ展でした。開催前にせんだいメディアテークにAtoZサロンと称して奈良さんとgrafの豊嶋さんがいらっしゃって、そのトークセッションを観に行ったことから始まり、弘前でのAtoZ展の本番、その夜のライブイベント「A-Nightで行こう!」(bloodthirsty butchersの爆音に耳が聴こえなくなると思った…)、終わってから仙台で観た映画「NARA:奈良美智との旅の記録」…と、僕にとってはねぶたのようにあっという間に過ぎ去った、ひとときのお祭りのようなものだったと思います。

結局その後奈良さんの近作を鑑賞する機会はなく、6年もの歳月が経って、その間に東日本大震災も起こりました。震災後、奈良さんが仙台のギャラリーにやってきて音楽と写真のスライドショーを見せてくれたのはもう2年前になるのか…。そんな奈良さんがどんな作品を見せてくれるのか、期待が高まらないわけがない。AtoZ展とは何だったのかという点も改めて考えてみたい。そんな気持ちで美術館へ行ってきました。
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元日にしてはそこそこの人出があったと思いますが、奈良さんほどの人気作家の展覧会にしてはかなりゆっくりと鑑賞できました。作品の正面に立ってしばらく物思いに耽っても、作品のディテールに見入ってもほとんど次の人のことを気にしなくても良かった。本当に帰省のタイミングで青森で見られたのはラッキーでした。

初めて見る彫刻作品は、圧倒的な存在感でした。カラフルな絵画に対して金属の量感をまとった対比的な存在。まるで奈良さんの体から分離して出てきた蠢く精霊のようで、身体性が溢れていた。頭がクリスマスツリーのようになっている「樅の子」のように一見ポップなモチーフのものも、表情には神妙な雰囲気が漂っていました。どの彫刻もその表情にはざまざまな感情が混在しているようでした。壁にその顔を向けて展示されている作品は、一見顔と分からないほどの塊で、椹木野衣が美術手帖のテキストで語っていたように、その作品は正面が定められていなかったからこそそのように展示されていたのだと思います。逆にその顔に気がついた時には顔と壁とに挟まれて巨大な顔面に対峙するという、奈良さんの少女の肖像画との対話のような関係を持てるとも言えるのですが、いかんせん彫刻の質感の前にはそこに長居できない。。

青森県立美術館の明るいホワイトキューブや、土壁の暗い展示室が交互に連続する展示空間と、その展示構成はかなり上手く噛み合っていたと思います。特に土壁の空間に置かれたメインの彫刻群から続く2室、ここに順路はありませんが、まず一つの部屋は水戸で震災後に発表したという制作スタジオのインスタレーション。一見AtoZを思わせる展示かと思いきや、前回の小屋的な閉じた内輪的なものというより、一面を開放したひらけたものでした。震災後の水戸での展示に何も創りだせないでいた奈良さんが発表したきっかけの作品だそうで、奈良さんが選曲した音楽も流れていて本当に明るい気持ちになる一室。

もう一室は暗く長いアプローチを経て、明るく大きなホワイトキューブに「春少女」「夜まで待てない」「Cosmic Eyes(未完)」の絵画が贅沢に展示されている空間。真っ白な空間に置かれた多彩な色面の絵画は、土壁の空間との対比が鮮やかで、かなり感動的な体験でした。単純にカラフルで明るいという印象だけではなく、ニュートラルなホワイトキューブに置かれたそれらの絵はどれも多様な表情に映ります。たくさんの色を画面に置きながら塗りつぶして一枚の絵を完成させていく制作工程が知られている奈良さんの、その初期工程のさまざまな色が少女の服にそのまま完成として残されているのはどのような心境からなのか。その答えは一元的に定められるものではないと思いますが、以前の作品に比べてどんどん曖昧になっていく人物と背景との境界にしろ、宇宙のように複雑な奥行きを持った目にしろ、奈良さんの絵の神秘性には飲み込まれそうなほどの磁力を感じました。

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これらの部屋を経て次に訪れる(あくまで順路は無いですが)ビルボード群の一室と、アプローチに登場するドローイング。ぼんやりと浮かび上がるような絵画作品とは対照的な、輪郭線と色面。AtoZでも見慣れたビルボードは今も健在。ダンボールに書かれたドローイングはその正方形のサイズ感も相まって奈良さんの好きな音楽レコードのカバーのようでした。
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ここからアレコホールを経由して奈良美智常設展示室へ。常設展示しているニュー・ソウルハウス、あおもり犬を経て、最後の展示室にWhite Ghostが。これだけ2010年の制作。横浜美術館ではもっと広い空間に展示されていたようですが、ちょっとここは窮屈そうな感じです。展覧会全体の規模は以上のようなもの。新作109点による個展とは言え、その数に対してゆったりとした展示空間があるので落ち着いて観られるのが良かったです。

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展覧会の他といえばミュージアムショップにはグッズも沢山でさすがの混み具合。僕も展覧会の図録など買ってきました。チロルチョコもあってプレゼントにはいいだろうなーと思いつつも、あれもこれもとキリが無くなってしまいそうなので断念。他にはいつもキッズスペースとして使われている部屋が奈良展特設カフェになっていました。待ち合わせの時間つぶしに良いがアクセスが分かりにくいのがミソ。

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展覧会自体、作家の評価のそれぞれは専門家に任せるとして、僕個人、新しい1年の初めに青森県立美術館で奈良さんの作品に触れられたのがどれだけ心の滋養になったことか。しかも母と二人で観に行ったのがさらに感動を共有する機会となって良かったんです。作品を観て感想を言い合っては、意外に近いことを考えていたり、思わぬ見方をしていたり、二人で共有した感動の体験は(たぶん)ずっと語り合えると思います。また、ここのところ仕事でのデザインワーク以外に、個人での制作をずーっとしていなくて(ぼちぼちはしてるんですが…)、自由に絵を描いたり、モノを作ったりという制作欲が遠ざかっていました。この世にある全てものは、何モノでもない、誰かが想像して妄想して瞑想して頭の中に浮かび上がったモノが形となって現れたもの。もっと妄想して自由に手を動かして、やりきって、いいモノつくるぞー!!と奮い立たせてくれるには十分過ぎる、タイミングと環境と、感動的な体験をもたらしてくれました。