ワインツーリズム in 雄勝

3/21、ワインツーリズムin雄勝へ。仙台に住んでいながら震災の大きな被害を受けた地域の一つである石巻には、震災後一度も行ったことがありませんでした。何か手伝えることがあれば力になりたいと思う一方で震災のボランティアなど、どうも自分は足手まといになりそうな気すらして、あまり積極的に関わろうとすることはなかったのです。

イベントの1週間前ほど、Twitterでイベントをお知らせ頂いて行くことを決め、ようやく石巻に足を踏み入れることになりました。

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パッケージツアーの形式をとっているので、仙台駅から往復のバス移動も料金に含まれています。朝8時、仙台駅東口から出発。バス会社は南三陸観光バス。津波で公民館の屋上に取り残された映像は僕もニュースで記憶にありましたが、雄勝のバス会社だったとは知りませんでした。

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往路の車窓。山沿いは雪。

前日の仙台はみぞれのようなビショビショの雪が一日降り続き、この日も朝は小雨がぱらつく天気でしたが、2時間ほどかけて到着した雄勝では少しずつ天気も回復して無事ツアーも開始しました。

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概要を説明する森田さん

ワインツーリズムというネーミングではあるものの、雄勝の復興支援の意味合いの強いツアーです。本来のワインツーリズムはワインを特色とした街でワインを通じ、街や人に触れ合うことが趣旨だと思いますが、当然雄勝にワイナリーはありませんので、まずは参加者全員でバスに乗りあわせて雄勝の数々の集落を実際に見て回りました。ツアー企画者の森田秀之さんが添乗員としてガイドしてくださいました。

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まずはバスの到着した旧雄勝総合支所前から小島地区へ。ここでは八雲神社を見学。海岸沿いからすぐ近くにある八雲神社には石段が続いており、この階段の上から3段まで津波が押し寄せたそうです。全員で実際に神社境内のレベルまで登ってみました。普段からそのような想像力をふくらませ、先代からの言い伝えを体に染み込ませておかないと、なかなかその津波の威力を想像することは難しいです。このように町内の各地に点在する神社が位置する高さは、津波の遡上高よりも高い位置に配置されているそうです。

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神社の階段を降りたところで、わかめの作業小屋の見学をしました。こちらの奥様はおがつスターズのメンバーだそうです。急遽お邪魔したところでしたが茎わかめを試食させて頂きました。肉厚で美味しい!

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続いて立浜地区へ。道路沿いから山手の奥に見える古い民家を改修し、おがつキッチンというレストランのオープンを計画しているそうです。

次はくねくねと曲がりながら狭い山道を上り、熊沢地区へ向かいます。ここまでに眺めた海はリアス式海岸の奥まった湾の中で、対岸が見える穏やかな海面でしたが、少しずつ太平洋の荒々しい波しぶきが見える海岸沿いに移動して行きました。

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熊沢では傾斜地にある集落と山から海に注ぐ沢、神社を見学。また、コールタールを外壁に塗った野性的な佇まいの小屋、森田さんらは「雄勝ブルー」と呼んでいるという住宅の外壁の一部に塗った青い塗料のデザインセンスなどを解説していただきました。

続いて大須地区。立派な住宅が密集しており、旅館と民宿もあるそうで、雄勝にまたゆっくり遊びに来るときは宿泊するのもおすすめとのこと。始めに雄勝に入った旧総合支所前は津波の被害も大きく閑散とした印象がありましたが、高台にある集落を見ると人の気配が感じられて少し安心しました。それでも雄勝町全体で4000人ほどあった人口が900人ほどに減少したとそうです。

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新しく作られた番屋。地元の方々はこのような大工作業が得意で自作してしまうんだそう。

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「地震があったら津波の用心」と刻まれている

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「昭和八年三月三日」昭和三陸地震の記録

ツアーは続きます。次は荒地区。その名の通り荒々しい波が打ち付ける海岸に接した地区。この地区では昭和三陸地震後、海沿いに住居を作るのを止め、海沿いは番屋(作業場)のみにすると地区単位で取り決めたそう。今回の津波の被害によって番屋は流されてしまってその様子は想像するしかありませんが、この地区もコールタールを外壁に塗った番屋が並ぶ「黒いむら」とでもいうべき光景が広がっていたそうです。昭和の津波の到達点を示した道標も立っていました。

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駆け足で雄勝の各地区を見て回り、だいぶお腹も空いてきました。バスは出発地点の旧総合支所方面へ戻って行きます。続いては今回のツアーの目玉、震災後に作られたコミュニティースペース「オーリンクハウス(O-link House)」で楽しむ、「浜のかあちゃん料理と日本ワイン」の時間。このオーリンクハウスではカフェも営業中で、震災後の街の交流の場所として機能しているようです。

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会場に入るとテーブルに並べられたたくさんの海の幸!雄勝のかあちゃんたちで構成される「おがつスターズ」と、ケータリングユニット Cuelを主催するハギワラトシコさんらによる豪華なごちそうたちが出迎えてくれました。そして、忘れてはならない日本ワイン。甲州・信州ワインがずらっと20種類以上!「ワインツーリズムやまなし」のお二人がサーブしてくださいます。

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ハギワラトシコさん

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当初ワインチケット4枚を渡されて5杯目以降は追加料金で各自という内容でしたが、森田さんから4杯分くらいを自己申告制ということで少しずつたくさんの種類をテイスティングするのもOKと太っ腹な説明が。

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わかめの作業小屋でも頂いたわかめの茎

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料理も100人分くらいは用意したという通りものすごいボリューム。ホタテやカキ、ワカメなどを中心にこれほどの料理のバリエーションが作れるものかと感心しきり。

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美味しかったワインと料理の相性が良かったものをメモしてみてくださいと言われたものの、美味しい食事に大忙しで僕は全然やってませんでした…。

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乾杯のスパークリング

一方、ワインはこのたくさんの種類の一つひとつを丁寧に解説。説明を聞くとよりワインへの興味も増していくというもの。何杯いただいても誰も数えるような雰囲気もないんですが(笑)、自己申告制に則ってしっかりと5杯目には500円をお支払いしました。やがて、あれだけあった料理もだいぶなくなり、食事はこれで終了。

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会場片付けのため一度外に出て、近くの仮設商店街「おがつ店こ屋街」を見学しました。雄勝石を使った硯のお店や、地元の人が利用するようなスーパー、寿司屋、海産物のお店などが入っています。石巻焼きそばののぼりも見かけました。

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オーリンクハウスへ戻ると会場はプロジェクタとスクリーンがセッティングされ、新潟・新発田市、吉原写真館館主の吉原悠博(よしはらゆきひろ)さんによる映像作品の上映がありました。写真が物語る歴史、写真から想像される人それぞれの生活や情景がこれほどに説得力のあるものかと気付かされる作品でした。6代にもわたり続く写真館の先祖と新発田の歴史を映し出す内容。雄勝でこうしてたくさんの人と過ごすこの一日を参加者が思い思いにカメラに収めるのもまた貴重な歴史のひとつではないかと思います。アーティストとして世界的な活動をしながら、地元新発田の潜在的な魅力の発掘に尽力する吉原さんの経緯なども、雄勝の魅力を熱心に伝える媒介となっている森田さんの姿にも重なります。直接的に雄勝や復興に言及する内容ではありませんが示唆に富んだもの。

オーリンクハウスの外で参加者全員の集合写真を撮影しバスに乗車。最後に現在工事が進行中のナミイタ・ラボというコミュニティースペースを見学しました。震災以前から限界集落化の課題を抱えていたという波板地区で集落を未来につなげる活動の拠点となるそうです。明るい笑顔で迎え入れてくれる地区の会長が素敵でした。

全ての見学が終わり、森田さんはバスから下車し解散。仙台駅へバスは出発し、ワインツーリズムが終了しました。

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帰路の車窓。北上川と夕日

ワインツーリズム in 雄勝に参加して

ただでさえ人口が減っていた中、大震災が輪をかけて大変な状況を生み出してしまったこの地域で、今回のような取り組みが地元の活気の一助になればと、僕もいち参加者ながら思います。

今までお互いに関わりのなかった客層を観光客として呼びこむための着火剤として、今回のようなイベントは有効でしょうし、雄勝のファンを創り出して繰り返し遊びに来てもらうというサイクルを生み出すためにも、継続的な活動が必要だと思います。

外部の人の助けも借りながら、それでもやっぱり地元の人々がしっかりと問題意識をもっていなければ活動は持続しないので、地域全体にそのような意識を共有することが最も重要なのかなと思います。

もちろん、町民全体が「おもてなし部隊」みたいにはならなくていいと僕は思います。それは無理があるし、一部の得意な人がやればいい。例えばおがつスターズのようにその役回りを分担する。外から来る人の相手をする前に、長い歴史とともに海との生活があるわけだし、その生活に誇りを持って海の仕事をする人はしっかりとそれを育むことも同じように大切だと思います。意識の底に自分たちの町を好きで来てくれる人がいるという考えが共有されていれば、観光客の満足度にも響いてくると思います。

どんなきっかけでも良いと思うので、人それぞれに自分の地元に限らず好きなまち(地方)が出来て、そのまちのファンになるという状況がどんどん起こっていくと素敵だなと思います。

僕もこれまで雄勝には一度も行ったこともありませんでしたが、今回のイベントを知人づたいで知って参加したことから雄勝に対してぐっと親近感が湧きました。関係ないと言ってしまえば関係のない地域ですが、「前にワインツーリズムというイベントで行ったことがある」という理由だけで、また今度訪ねたときは新しい発見やコミュニケーションが生まれるかも知れません。

パワフルな外部の協力者と、地元の頼れるリーダー、たくましい生活者と、好きでいてくれる観光客とが相互に関係しあって、未来の雄勝が美しいまちとなって元気に復興していくことを心から祈っています。

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